A Tribute to John Williamsとして今年1月19日にウィーンのムジークフェラインで行われたコンサートのライブ録音。
あの(と書いてもいいと思うが)ジョン・ウィリアムズがウィーン・フィルハーモニーから招かれ、自身の指揮ということで、これはもう音楽家冥利に尽きる。
同じプログラム(指揮者も同じ)であっても他のオーケストラだったら、ここまで高い関心を持たれるだろうか?
ウィーン・フィルハーモニーはクラシック音楽界では、最大のブランドなのだ。
こう書いてしまうと、なにやらバッグやら洋服などのブランドと同じような感じにも思えるが、実際にこのオーケストラの音、響きを聴けばそのブランドは真っ当、真正なものであると直ちに理解できるはず。
他のオーケストラ、例えばベルリン・フィル、コンセルトヘボウといった由緒ある優秀なオーケストラもあるが、ウィーン・フィルが作り出す響きの豊かさ(それは中音域の充実にある)と艶にはおよばない。
そんなオーケストラから招待を受け、自分の作品を、自分の手で音にできるのだから、もうそれ以上何を求めるのか、ということになる。
実際に指揮をする姿は、華麗な指揮ぶりということはないが、映像からは喜び、楽しんでいることが伝わってくる。
スター・ウォーズでは、テーマの歌いだしの最初の3連符の絶妙な「ため」は、ウィーン・フィルならではの遊びゴコロ。最初のほうでアンサンブルがわずかに乱れるがこれは愛嬌というものだ。
- ネヴァーランドへの飛行(『フック』から)
- 『未知との遭遇』から抜粋
- 悪魔のダンス(『イーストウィックの魔女たち』から)
- 地上の冒険(『E.T.』から)
- 『ジュラシック・パーク』のテーマ
- ダートムア、1912年(『戦火の馬』から)
- 鮫狩り – 檻の用意!(『ジョーズ』から)
- マリオンのテーマ(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
- メイン・タイトル(『スター・ウォーズ/新たなる希望』から)
- レベリオン・イズ・リボーン(『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から)
- ルークとレイア(『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』から)
- 帝国のマーチ(『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』から)
- レイダース・マーチ(『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン 3, 13)
ジョン・ウィリアムズの、そして付けられたのはアクション系の音楽なのだから、サウンドのスペクタクルさがすごい。
金管群、特にホルン8本から生まれる音の輝かしさ。よく歌う弦の豊かな響き。
音楽だけで映画のそれぞれのシーンを彷彿とさせる。
暑い今年の夏の、最良の清涼剤。
May the Force be with you